理事・支部長交流会
関東甲信越、東海、北陸、近畿、の各支部支部長、副支部長、広報部長が集まり、理事の先生方と交流会を行いました。高田広報部長の司会進行で、日頃の支部活動の報告や、各理事の専門性を活かした質疑応答が行われました。
【関東甲信越支部久保支部長より報告】
今年1月から3月にかけ、色彩福祉士、カラーセラピストの方を集めて、勉強会および交流会を催しました。
皆さん、久しぶりにテキストを開いたということもあり、楽しく交流することができました。この勉強会と交流会は継続して開催したいと考えています。
【関東甲信越支部野川副支部長より報告】
地域での活動で、市民講座として「色と脳活」ということで講座を行ったりしました。その場で作った作品を色彩コラージュ公募展に応募して、賞をいただいた方が出ました。また、別の精神障害のデイサービスでは作業療法士を中心にコラージュの指導をしていただいて、その中からも受賞者が出たということで、とても嬉しい体験をしました。色彩福祉士が直接指導ができない施設でも、作業療法士などの力を借りながら活動ができるのではないかと考えています。
【北陸支部中村支部長より報告】
今年の初めに大きな地震があり、まだ避難されている方もいます。日頃、農業などに携わっている方が何もすることがないというのが、たいへんなストレスになるということで、さまざまなボランティアが入っています。私も傾聴ボラ
ンティアとして参加しました。今後も、何人かメンバーを募って珠洲市等の避難所に行く企画を立てているところです。まだ車でしかいけませんし、簡易トイレなども持参のボランティアですので、しっかりと計画を立てて行ってこようと思っています。
【東海支部古橋支部長より報告】
ケアマネジャーをしており、これまではデイサービスで色彩コラージュの活動などをしていました。介護業界で働く人はバーンアウトしてしまうことが多いので、カラーセラピーの技法を生かした活動ができないかなと考えています。
【近畿支部森理事より報告】
奈良県の看護協会から依頼があり、介護施設で入居者に向けた絵画制作やコラージュ制作などをおこなっています。作った作品は食堂などに展示して、たいへん好評をいただいております。今後は、色の集い場やカラーセラピストへの勉強会をしたいと思っています。京都で講座を行った際には、京都西本願寺の普段見られないところの見学なども行いたいと思います。
【清水広報部長より報告】
京都に古くから日本画の絵具を販売している会社がありますが、日本画を描く人も少なくなり、商売がうまくいかなくなったときに、胡粉という貝殻をくだいたものをベースにした胡粉ネイルを販売したところ、たいへん好評で話題になっています。胡粉ネイルの良いところは、水性ですぐはがれるところです。顔料の会社がこんなことをしているんだなと驚いたので報告しました。
【高田広報部長より報告】
徳島で労働福祉協議会の自立支援プログラムに携わっています。5~6名の参加者に対して色彩コラージュを作ってもらう活動ですが、施設の担当者の方からは、普段、コミュニケーションしにくい参加者の内面を知ることができたという評価をいただいています。そのほか、高齢者施設等でもこの活動を継続していて、今後も活動の場を広げていけたらと考えています。
理事への質問
Q 私の母の話で恐縮ですが、質問させてください。
母は、何か一つ気になることがあると望みが叶うまでずっと言い続けます。物事にこだわり続けるのは老年の特徴でしょうか?
認知症は軽度です。頻繁に母から電話がありますので、私と話すことで心のケアになると思っていますが、マイナスの言葉を聞いていると、何とかコントロールしようという方向に言葉を返してしまいます。
「聞く」という行為の中で、こちらの心が痛まない対応の仕方があれば教えていただきたいです。
【佐藤理事より回答】
同じことを何度も言うのはアルツハイマー型認知症の特徴ですが、ご自身が言ったことを覚えていたり、幻視があるということであるため、お母様はレビー小体型とアルツハイマー型が合併している状態かもしれません。
レビー小体型の場合、同じことを何度も言うのは何か気になることがあるためです。おそらく、日によってハッキリしている時があると思いますから、そういう時に「お母さん、○○と何度も言うけど、あれはどういうこと?」というように、本人に確かめてみるといいかもしれません。
何度も言うことには必ず理由がありますから、それを汲み取れたらいいと思います。反対に一番よくないのは「スピーチロック」と言われるように、「その話はもう聞いた」と言って会話を止めてしまうことです。
介護する人はその時はたいへんでも、一旦受け止めることはとても重要です。その場では受け止めて、後でじっくり対応を考えることが必要です。人は悩んでいるとき話すだけでも楽になるものですから、娘さんを頼りにされているのだと思います。
Q ケアマネジャーとして、色彩福祉の活動を広げていきたいと思っていますが、レクリエーション活動をしようとしても、難しいのは高度期の認知症の方や鬱っぽくて無気力な方、拒否の強い方等です。
そのような方々との関わりで気をつけることはどのようなことでしょうか。また、相手をなごませるアイデアがあれば教えていただけたらと思います。
【高橋理事より回答】
先日、イギリスの科学雑誌で10年後も残る職業として、「レクリエーショナルセラピスト」があげられていました。
つまり、集まった人たちに本気で楽しんでもらうスキルは、AIにはとってかわることができないということです。
集まった人のうち多くの人が面白いと思って参加してくれていれば、最初興味がないと思っていたような人も少し関心を持ち始めるということもあるでしょう。
これは精神科医の中井久夫さんが本の中で引用されていたのですが、自分に関心を持つ人が傍にいるだけで病状が改善するということが実際にあります。ですから、そこで行おうとしていることに参加しない人に対しても、こちらが関心を持って接するということが、大切なことなのではないでしょうか。
Q 高齢の母がつい最近、新たに癌を発症して現在治療中です。本人も「死」を覚悟しながらも治療を頑張ってはいますが、どうしても自由に歩き回ることができないため、自宅で過ごす時間が長くなります。そういうときに『死ぬのを待っているみたい』という言葉が出ることがあります。どんな言葉をかけたらいいものでしょうか。
【高橋理事より回答】
体が衰えてきて、「死ぬのを待っているみたい」と言うのはある種の真実であろうと思います。
この言葉は、頭がそう言っているのではなく、生理的条件が言わせているのですね。そういう方に接した際には「そうだね。そうかもしれないね」と、そのままの形で受け止めることも必要なことではないでしょうか。
それが、ご本人の気持ちを「受容」するということなのだと思います。
※当日の様子を一部抜粋して掲載しました。
2024年6月