色彩カフェvol.3「気分が完全にスッキリしたら、もう来てくれなくなっちゃうのかな?」セラピストが抱えるジレンマとは?

日本色彩環境福祉協会で資格認定をおこなっているカラーセラピストの講座は、それぞれの技法を実際のセラピーと同じように進めます。
ですから、授業中のセッションでも途中で涙が出たりする方もあり、日頃の思いをそこで少し解消していただけたかなと思っています。

カラーセラピスト講座は学びの場ですが、そこでセラピー効果を実感できる場でもあるんです。

ところで、こんな風に学んで、カラーセラピストになろうとしている方は、ご自分でどんなセラピールームを運営したいと思いますか?

ゆったりと相談にいらっしゃる方のお話を聴いて、自分のカラーセラピーによって気持ちが少し軽くなって帰っていただいて、そして、それなりの料金をいただけるようになったらいいですよね。

そういうなかで、
「この間のセラピーで一度は気持ちが楽になったんだけど、また苦しくなったのでもう一度カラーセラピーをお願いします」
って言う人が現れるかもしれません。

こういうとき、セラピストだったら誰でも、とても嬉しいと思います。
そうだよね。自分のカラーセラピーを「もう一回受けたい」って言ってくれるんだもの。それは嬉しいものですよね。

セラピストと相談者との関係が、ある程度のほどよい距離感で「付かず、離れず」にいられればいいのです。
相談者も、普段はある程度自分で小さな悩みは解決できる。でも、どうしても困ったときは相談に来る。そんな関係でいられればいいのですが、セラピストが「自分がこの人を楽にしてあげた」ということに、あまりにも喜びを感じてしまうと、相談者を「相談者」という役割のなかに閉じ込めようという無意識の力がセラピストのほうに生まれることがあります。

セラピーがうまくいけばいくほど、セラピストは相談者を支配するような関係になっていく危険を秘めています。
そして、セラピストは「相談者を癒やす」ことに喜びを感じているがために、「セラピスト」という役割を手放すことが難しくなってしまうのです。

つまり、セラピストがセラピストの役割を持ち続けているということは、実は、相談者を相談者のままでおいておくことになってしまうんです。

これがなぜいけないのか?

相談者は、本来、誰の助けがなくてもひとりで生きていける力をその人自身のなかに持っています。ですから、セラピーというのは、それぞれの相談者に、本来、その人が持っている力に気づいてもらい、自分の力で生きていけるようにサポートすることが大切なんです。セラピーなしでは生きていけないところに相談者を追いやってはいけないのです。

「そんなこと言って、せっかくリピートしてくれた相談者がいなくなっちゃったら困る」と、今、思いましたか?

そう。そうしたらね。

「あなたが良くなって、このセラピールームを卒業していってくれることが一番嬉しいけど、私はお客さんがひとり減って寂しいな」というように、あなたも弱音を吐いてみましょう。(笑)

そうすることで、相談者は「ああ、セラピストの先生だって困ることがあるんだ。悩みもあるんだな」という風に感じることができる。そして「そうなんだ。じゃあ、先生。今度、私の友達を紹介してあげるよ!」って、先生であるセラピストのあなたを救ってくれるのです。

そうやって、相談者自身が「自分にも他者を援助することができる」ということを実感していくことで、自分の力で生きていく自信を持つことができます。

これは、ひとつの例にすぎませんが、こういう役割の交換によって、相談者が自立していく力を得るということもあるのです。

ですから、セラピストは安心して、相談者がセラピールームを卒業していくことを見守りましょう。あなたのセラピーを受けたい人は、他にもたくさんいるんですからね!

今日もお読みいただき、ありがとうございました。(田口さつき)

※この連載は、協会の認定校カラリストスクール・ワムI.C.Iでも掲載しています。

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